シャンパーニュの中心地ランスで、250年以上の歴史をもつ最も有名なシャンパーニュハウスの一つであるランソン社は、もともとランス市参事会員のフランソワ・ドゥラモット氏によって創立されました。

1798年にフランソワ氏の長男であるニコラ＝ルイ氏がシャンパーニュ・ハウスを継承し、氏が修道会のマルタ騎士団の騎士であったことから、ワインのラベルとコルクにマルタ十字の十字マークが刻まれるようになりました。

1837年にシャンパーニュ・ハウスの重要な管理業務を担っていたジャン＝バプティスト・ランソン氏によって社名を「ランソン」に変更したのち、販促を世界に広げ国際ブランドに発展しました。

1855年、ジャン＝バプティスト・ランソン氏の息子ビクター・マリー・ランソン氏にハウスの経営が引き継がれ、氏はイギリスでのビジネスの発展に力を入れ、ロンドンの老舗パーシー・フォックス社と契約したことで、140年以上に渡って「イギリス王室御用達」のシャンパーニュとなりました。

現在はスウェーデンやスペインにも献上され、モナコ王室の御用達にもなり、モナコの国旗の紅白と象徴である市松模様をモチーフにしたモナコ限定ラベルも作られました。

ランソン社のシャンパーニュは、元来シャンパン製造の伝統的な技法であった、「マロラクティック醗酵を行わない」製法を頑なに守り続けています。

マロラクティック醗酵を行わないことにより、フレッシュなブドウの果実味を保ちながら、ほどよい酸味を残したフルーティでまろやかな風味になります。

しかしながら、この製法では、酸を落ち着かせるためには長い瓶熟成が必要となり、規定熟成期間（ノン ヴィンテージで15ヶ月）を大きく上回る最低3年の熟成期間を取らなくてはならないため、コストも手間もかかります。それでも創業当時からのこの醸造ポリシーを貫くランソン社のシャンパーニュは、熟成を経るに従って重厚で魅力的なものになるため、世界のシャンパーニュファンを魅了し続けているのです。