シャトー・ド・ル
CHATEAU DE LOU

南仏ルーション地方。
地中海の陽光と風、そして多様な地質が広がるこの地に、近年熱い注目を集めているシャトー・ド・ル（Chateau de l’Ou）。「l’Ou（ル）」とは、カタルーニャ語で“卵”を意味します。この名前の由来となったのは、今からずっと昔、この土地にあった水の湧き出る場所。それが、まるで卵のような楕円形をしていたことにあります。かつてテンプル騎士団によって利用されていたとも言われる「マス・ド・ル・ウ」は、地域のラバ使いたちが頻繁に通った、にぎやかな通過点でした。1998年、セヴリーヌとフィリップ・ブリエ夫妻がこの歴史ある地に一目惚れし、30ヘクタールの土地を購入。購入時から有機農業にこだわり、当時まだ少数派だったビオ栽培の道を選びました。

現在では、ペルピニャン南部からアグリー渓谷、モーリーまで、異なる気候と地質を持つ複数の畑を所有。ブドウはすべて手摘みで、畑ごとの個性を最大限に引き出す造りが徹底されています。生まれるワインは、フルボディでありながら、エレガンスとピュアさを兼ね備えた逸品ばかり。果実の凝縮感、洗練されたミネラル感、絶妙な樽使い。どれをとっても、セヴリーヌ氏の「細部への愛」が感じられる仕上がりです。

■世界的な影響力をもつ評論家が今最も注目する“新星”
ワイン界の権威ロバート・パーカーの愛弟子として知られ、現在は評論家として世界的な影響力をもつジェブ・ダナック氏はこのシャトーを高く評価しており、「ルーション地方で私のお気に入りのシャトーは、シャトー・ド・ルである。信じられないほどの情熱と、セヴリーヌ・ブリエ氏による仔細への気配りによって運営されている。」「ルーション地方の新星である。」と語っています。

その言葉通り、シャトー・ド・ルは小規模ながら驚くべきポテンシャルを持ち、多様なテロワールから、個性豊かなオートクチュールワインを生み出しています。

南仏ルーション地方、モーリーのテロワール。そこに広がる黒色片岩の土壌と、標高350メートルの冷涼な気候が、グルナッシュ・グリに唯一無二の個性を与えています。そんな土地から生まれたのが、このワイン。造り手のこだわりは、収穫直後の果皮浸漬から始まります。5度の低温で4～5時間かけてじっくりと果皮と果汁を接触させ、香りと風味を丁寧に引き出します。その後、半分は新樽（300L）へ、もう半分は素焼きのアンフォラ（陶器製の壺）へ。どちらも16～20度の温度帯で、毎日撹拌を加えながら発酵されます。この2つの異なる容器が生み出すのは、繊細さと複雑さの絶妙なバランス。フルーツのピュアさを保ちつつ、しなやかな構造と奥行きを与えます。

グラスに注げば、桃やレモンカード、白い花の華やかな香りが立ち上り、そこにミネラルのニュアンスが重なります。口に含めば、ミディアムからフルボディのしっかりとした飲みごたえ。背景にはほんのりと上質なオークの香りが寄り添い、全体を上品にまとめています。グルナッシュ・グリの魅力を存分に引き出した、繊細でエレガントな一本。地中海の太陽と大地を感じる、特別な白ワインです。