ドメーヌ・ド・コンポステル
DOMAINE DE COMPOSTELLE

ポムロールと聞けば、シャトー・ペトリュスやル・パンなど世界的名声を誇る高級ワインの銘醸地の一つ。しかし、この地にはまだまだ知られざる優れたワインが存在し、そのひとつが、100年以上の歴史を誇るエスタジェ家が手がける「ドメーヌ・ド・コンポステル」 です。ポムロールの名門「シャトー・ラ・カバーヌ」のセカンドワインとして、シャトー・ラ・カバーヌと同じ哲学のもとで造られています。若いうちから楽しめるスタイルでありながら、ポムロールらしいエレガンスをしっかりと持ち合わせているのがセカンドとしての最大の魅力です。
1912年、フランソワ・エスタジェがボルドー地方でワインビジネスをスタートさせ、以降、エスタジェ家はワイン販売と生産の両面で発展を遂げてきました。息子のジャン・ピエールが1966年に事業を拡大し、現在ではポムロールをはじめ、サン・テミリオンやラランド・ド・ポムロールなど、名だたるボルドー右岸の地にブドウ畑を所有しています。「ドメーヌ・ド・コンポステル」のブドウ畑は、なんとポムロールのトップシャトーのひとつ、シャトー・クリネのすぐ隣 という絶好のロケーションに位置しています。
醸造方法は伝統と革新が絶妙に融合しており、空調管理された小型の円錐台形の発酵槽を使用し、丁寧にポンピングオーバー（液循環）とピジャージュ（櫂入れ）を実施。収穫されたブドウの持つポテンシャルを最大限に引き出すため、低温マセレーション（浸漬）を取り入れています。 長い歴史の中で積み重ねられてきたエスタジェ家のワイン造り。その一本一本には、世代を超えて受け継がれる情熱と、土地への深い愛情が詰まっています。

ワインは時間とともにその表情を変えていきますが、特に、ポムロールのようにメルロー主体のワインは、若いうちは果実味が前面に出るが、熟成を重ねることでより深みと複雑さを増します。この 「ドメーヌ・ド・コンポステル 2014」 も、今や10年以上の時を経て、フレッシュさの中に落ち着きと気品を備えた古酒としての魅力を放っています。グラスを回すと、熟成ワインならではの芳醇なアロマがゆっくりと広がります。ブラックチェリーや熟したプラムの甘みを感じるますが、フレッシュというよりはコンポートやドライフルーツのような濃縮感のある香りへと変化。バニラやカカオのニュアンスに加え、トリュフや湿った森の土、ドライハーブのような複雑な要素が加わります。時間とともにレザーやタバコ、紅茶の葉を思わせる落ち着いたニュアンスが漂い、香りの奥行きが増し、一口飲む前からこのワインが持つ熟成の妙を期待させます。口に含むと、10年の熟成を経たワインならではの 滑らかで丸みを帯びた質感が心地よい。まだしっかりとした果実味が感じられるが、タンニンが溶け込み、柔らかくエレガント。酸味と果実味のバランスが絶妙で、ダークチョコレートやスパイスのニュアンスが広がります。余韻は長く伸びやかで、かすかにシガーやブラックトリュフのようなニュアンスが残ります。若い頃の力強さとは異なり、時間の経過が生んだ円熟した味わいが楽しめる一本です。