ボジオ・ファミリー・エステーツ
BOSIO FAMILY ESTATES

イタリア北西部、『葡萄畑の景観』が世界遺産に登録されるピエモンテ州の美しい丘陵地帯。ここに、３世代にわたりワイン造りの情熱を注ぎ続けるボジオ・ファミリー・エステーツがあります。サント・ステファノ・ベルボを拠点に、アルバやアスティの広大な土地を抱え、彼らはこの地の恵みを余すことなく表現したワインを生み出しています。その中心には、「土地への愛と家族の絆」という揺るぎない哲学が根付いています。
ボジオ・ファミリー・エステーツを率いるのは、父ヴァルテル、息子ルカ、そして母ロゼッラ。彼らは家族経営の枠を超え、2015年にバローロ地区最北端の村ヴェルドゥーノにあるベルコッレ（Belcolle）というワイナリーを買収したことで、バローロとペラヴェルガといった象徴的なワインの生産において大きな飛躍を遂げました。この買収は単なるビジネス拡大にとどまらず、文化的な視野を広げる転機となり、地域の伝統を守りつつも、国際的な視点でのワイン造りへと歩みを進めることになりました。「私たちは世界を見据えつつも、この丘陵地の土壌と深く結びついています。バローロ、バルベーラ、モスカートといったワインは、私たちの土地と遺産そのものです。」と彼らは語ります。

ボジオ・ファミリーが誇るバローロは、ピエモンテ州ランゲ地区の特有な粘土質と石灰質が混ざり合う土壌から生まれます。この土壌は、ネッビオーロ種のブドウが持つエレガントな酸味と力強いタンニンを引き出す理想的な環境です。栽培においては、持続可能な農法を重視し、手作業による剪定や収穫を行うことで、ブドウに最大限の注意を注いでいます。収穫は秋の始まり、完熟を迎えた果実のみを厳選し、収穫後すぐにワイナリーへと運ばれます。
ボジオ・ファミリー・エステーツのフィロソフィーは、「GLOCAL（グローカル）」という言葉に集約されています。地元の伝統と文化を大切にしながらも、世界へ向けてその価値を発信する。それが彼らの目指すワイン造りです。「ボジオ・ファミリー・エステーツ」というブランド名には、家族の遺産を世界中の人々と分かち合いたいという願いが込められています。ワインを通じて、ピエモンテの風景や文化を一緒に味わってもらうこと。それこそが、彼らのワイン造りの最大の喜びなのです。ボジオ・ファミリー・エステーツのバローロを味わうことは、単なるワイン体験ではなく、ピエモンテの豊かな土地と家族の誇りに触れる旅なのかもしれません。

■テイスティングコメント
ワイナリーが誇るブランド「ヴィッラ・モンシニョーレ」。深みのあるガーネットレッドの色調。その艶やかで濃厚な色合いは、時を経てなお輝きを失わないバローロの風格を物語っています。グラスを傾けると、スパイスのニュアンスが繊細に広がり、エレガントで奥行きのあるブーケが立ち上ります。花々の芳香が柔らかく寄り添い、小さな赤い果実のほのかな香りが、優しく鼻をくすぐります。この芳醇なアロマは、時間とともにその表情を変え、飲み手の好奇心を刺激してくれます。口に含むと、熟した果実の凝縮感が舌の上で広がり、リコリスのほのかな甘さが余韻を引き立てます。力強いながらも滑らかなタンニンが全体を支え、バランスの取れた豊かな構造を生み出します。そのしっかりとした骨格が、バローロの長期熟成のポテンシャルを示唆し、今後のさらなる進化を期待させます。熟成を経ることで、より複雑で深みのある味わいへと変貌するバローロ DOCG。この一杯に秘められた可能性を、ぜひ時間をかけて楽しんでみてはいかがでしょうか。
合わせる料理は赤身の肉やジビエ料理、また、オーブン焼きのヒラメなど、風味豊かな魚料理や上質なチーズとも相性が良くおすすめです。