黒曜石のようにつやのある、濃いガーネットの色合いがとても綺麗で、見とれてしまうほど。
ミュール（ブラックベリー）のジャム、カシスリキュール、ブルーベリー、セージやシダーウッドのようなハーバルな香り、糸杉やミントの特徴的なカベルネの香りが複雑に、でも調和が取れた様子でグラスから溢れます。味わいは、密度がしっかり詰まっていて、重量感があり、アルコール感ではなく、果実味やキメ細かいタンニンで凝縮された感じがする。もしこのボルドーワインを最初に飲んだら、きっと次に美味しいと思うワインを見つけるのが大変になってしまうのでは、と思うくらい掘り出し物。
下手なグランヴァンを買うなら、星付きレストランでもこのボルドーで通した方がよっぽどお客様に喜ばれるのでは、と素直に思ってしまいます。

12世紀、ボルドーがまだイギリス領だったころに「ブルジョア」という階級概念が誕生しました。
そして1932年、1855年のメドック格付け（1級から5級）の対象にならなかったシャトーのうち、質の高いワインのシャトーオーナーたちが、自分たちのワインに付加価値を付けるため、ワイン仲買人に頼んで作った格付けが「クリュ・ブルジョワ」の始まりです。
しかし、この時代のクリュ・ブルジョワに法的な根拠はなく、あくまで非公式の格付けでした。

2000年に改めて農務省が詳細な規定を定め、2003年に政府公認の格付けとして初めて発表、このとき247のシャトーが認定されました。
「クリュ・ブルジョワ」の格付けは、収穫の2年後に審査が行われ、毎年9月に新たな認定が発表されます。
まさに実力主義の格付け。歴史や伝統ではなく「今」の品質を反映しているのです。