イル・パラッツォ
IL PALAZZO

イタリア・トスカーナ州、歴史と美しい田園風景が広がるアレッツォ駅から車でわずか10分。そこに佇むのが、名門ワイナリー「テヌータ・イル・パラッツォ（Tenuta Il Palazzo）」です。この地の歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。ローマとリミニを結ぶリヴィア通り（Via Livia）沿いに位置し、かつて「パラッツォ」という言葉は、旅人が休息を取る「駅」を意味していました。その名に由来し、1971年にバネッリ家が経営を開始した際、農園の名前として「Il Palazzo」が選ばれたのです。
標高300～380mに広がる畑では、トスカーナの象徴ともいえるサンジョヴェーゼをはじめ、メルロー、シラー、トレビアーノ、マルヴァジア、カナイオーロといった多彩な品種が育てられています。中でも、トスカーナを代表するワインの一つであるキャンティも手掛け、その品質の高さは折り紙付きです。ワイナリーではワインだけでなく、トスカーナの伝統を受け継ぐオリーブオイルの生産にも力を入れています。有機農法（ビオ栽培）を基本とし、6000本のオリーブの木々が広大な農園に並びます。

■テイスティングコメント
イタリアワインの名産地、トスカーナから生まれたワイン。豊かな風味とエレガントな余韻が特徴の一本です。まず、目を引くのはその深みのあるルビーのような赤色。グラスに注ぐだけで、ワインの力強さと品格が伝わってきます。香りを楽しむと、ブラックプラムやブラックベリー、サワーチェリーの果実感に加え、リコリス（甘草）のスパイシーなニュアンス、そして可憐な小さな赤い花のアロマが広がります。口に含むと、フルボディのしっかりとした飲みごたえが感じられ、シルクのように滑らかなタンニンが口の中を包み込みます。その凝縮された味わいは、長く続く余韻とともに、まるで一本の物語のように心に残ります。
このワインを支えているのは、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルドといった名高いブドウ品種たち。それぞれの個性が絶妙に調和し、複雑で奥深い味わいを生み出しています。醸造は、温度管理されたステンレスタンクで丁寧に行われ、その後、フレンチオーク樽でじっくりと熟成。最後にボトル内でさらに時間をかけて仕上げられます。